ガソリン暫定税率廃止で何が変わる?メリット・デメリットと決定の背景

2026.05.27
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ガソリン暫定税率廃止により、負担軽減効果は制度上約28円、店頭価格では約15円です。補助金との関係や軽油の廃止時期、家計・事業への影響、新税制の可能性まで解説します。

2025年12月31日に、約50年続いたガソリン暫定税率が廃止されました。ニュースでは「25.1円値下げ」と報じられていますが、実際にガソリンスタンドで体感できる値下がり幅は、それより小さくなります。

補助金との関係により、店頭価格の変化は段階的に進められてきました。また、軽油にかかる暫定税率の廃止時期はガソリンとは異なるため、物流業や建設業を営む方は注意が必要です。

本記事では、暫定税率廃止の仕組みと実際の影響、そして今後のエネルギーコスト管理について解説します。

そもそもガソリン暫定税率とは?

ガソリン暫定税率とは、本来のガソリン税に上乗せされていた税金のことです。

ガソリン暫定税率は、1974年のオイルショックをきっかけに、道路整備の財源を確保する目的で導入されました。当初は一時的な措置でしたが、延長を繰り返し、2025年末まで約50年間維持されてきました。

この上乗せ分は、揮発油税と地方揮発油税の一部として組み込まれており、1Lあたり25.1円が上乗せされていました。レシートに個別で表示されることはなく、ガソリン税としてまとめて支払ってきたため、多くの人はこの上乗せ分を意識しにくい仕組みでした。

なお、軽油にも同様の暫定税率が設定されており、1Lあたり17.1円でした。軽油にかかる暫定税率はガソリンより遅れて、2026年4月1日に廃止されました。物流や建設業で軽油を使用している経営者の方は、この廃止時期の違いを予算計画に反映させることが重要です。

出典:資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!」(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/zanteizeiritsu.html

ガソリン暫定税率の歴史

暫定税率が導入された1974年は、オイルショックによって原油価格が急騰した時期でした。

当時の日本では自動車の普及が進み、道路網の整備が急がれていたため、政府はガソリン税に臨時の上乗せ課税を行いました。この暫定税率は、もともと道路整備の財源として使われる「道路特定財源」の一部でした。

しかし、2009年に道路特定財源制度が廃止され、一般財源化されてからも「当分の間税率」という名称に変更されて継続されました。

一般財源化後も維持された背景には、国や地方自治体の厳しい財政状況があります。実際、2008年には暫定税率が一時的に失効し、ガソリン価格が大きく下落しましたが、わずか1か月で復活しました。

結果として「暫定」という名のもとに50年近く続くことになったのです。

ガソリン税の仕組み

ガソリンスタンドで支払う価格の内訳を理解すると、暫定税率がどの部分に含まれていたのかが明確になります。ガソリン価格は、大きく分けて本体価格と税金で構成されています。

ガソリンにかかる主な税金の内訳は次のとおりです。

項目税額(1Lあたり)内容
揮発油税24.3円本則税率
地方揮発油税4.4円本則税率
暫定税率25.1円2025年12月31日に廃止
石油石炭税2.8円地球温暖化対策のための税率の特例を含む


このうち、揮発油税24.3円と地方揮発油税4.4円を合わせた28.7円が本則税率です。これに暫定税率25.1円が上乗せされ、合計で53.8円のガソリン税となっていました。さらに、石油石炭税も加わります。

これらの税金を含めた価格全体に対して、最後に消費税10%が課されます。つまり、ガソリンには税金の上に税金がかかる「二重課税」と指摘される仕組みがあり、暫定税率の廃止前は、店頭価格のおよそ4割が税金で占められていました。

暫定税率の廃止により、ガソリン税53.8円のうち25.1円分がなくなります。さらに、その分にかかっていた消費税も軽減されるため、制度上は1Lあたり約28円の負担軽減効果が見込まれます。

出典:e-Gov法令検索「揮発油税法 第9条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000055#Mp-Ch_2-At_9
出典:e-Gov法令検索「地方揮発油税法 第4条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000104#Mp-At_4)
出典:財務省「自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料」(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d10.htm

2025年12月31日にガソリン暫定税率が廃止

2025年11月、与野党6党の合意により、ガソリン暫定税率を同年12月31日に廃止することが決定しました。これは、物価高騰による国民生活への影響を軽減するための政策です。

しかし、廃止日を境にガソリン価格が急に下落するわけではありません。政府は、急激な価格変動による買い控えや流通現場の混乱を避けるため、補助金を活用し、段階的に価格を引き下げる仕組みを取りました。

具体的には、2025年11月中旬から補助金を段階的に拡充し、12月中旬ごろには、暫定税率を廃止した場合と、同水準の価格引き下げ効果が実現されるよう調整されました。

そのため、12月31日の廃止時点では、すでに補助金の効果によって価格が下がっており、店頭価格が急激に変動しにくい仕組みとなっています。

なお、軽油の暫定税率は2026年4月1日に廃止されました。ガソリンより約3か月遅れての実施となったため、物流業や建設業など、軽油を使用する事業者は、予算計画を立てる際にこの時期の違いを考慮することが重要です。

出典:国税庁「揮発油税等の特例税率の廃止について」(https://www.nta.go.jp/information/other/data/r07/kihatsu/index.htm
出典:資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!」(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/zanteizeiritsu.html
出典:福岡県「軽油引取税」(https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/keiyu-hikitori.html

ガソリン補助金とは?

ガソリン補助金は、正式には「燃料油価格激変緩和対策事業」と呼ばれ、2022年1月27日から実施されている制度です。

原油価格の高騰による負担を抑えるため、国が石油元売り業者に補助金を支給し、その分を店頭価格の抑制につなげる仕組みです。

今回の暫定税率廃止では、この補助金が重要な役割を果たしました。2025年11月13日からガソリンの補助金は15円に引き上げられ、11月27日には20円、12月11日には25.1円まで拡充されました。

この段階的な引き上げにより、消費者が一度に大きな価格変動を経験しないよう配慮されました。

ただし、ガソリン価格は原油価格や為替の動向にも左右されます。そのため、補助金や税率変更の効果が、そのまま店頭価格に反映されるとは限りません。

出典:資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!」(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/zanteizeiritsu.html

ガソリン暫定税率廃止で期待されるメリット

暫定税率廃止により、家計や企業にとってさまざまなメリットが期待されます。

補助金拡充前は、1Lあたり10円の補助金が支給されていたため、現在の店頭価格と比べた実質的な値下げ幅は15円前後となります。

この価格低下は、車を日常的に使う家庭や、営業活動で車両を多用する企業にとって、年間コストの削減につながります。

家計の負担が軽減される

一般的な家庭にとって、ガソリン代の負担軽減は家計改善につながります。仮に月間40Lのガソリンを使用する家庭であれば、1Lあたり15円の実質値下げにより、月間600円、年間で約7,200円の節約になります。

通勤で車を使う人や、複数の車を所有している世帯、年間走行距離が長い家庭ほど、恩恵は大きくなります。ガソリン代の負担が減ることで、その分を食費や教育費、娯楽費など、ほかの支出に回しやすくなります。

出典:資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!」(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/zanteizeiritsu.html

実際の費用感のイメージ

具体的な費用感をイメージするために、月間走行距離別に年間コスト削減額を試算してみましょう。ここでは、燃費を1Lあたり15km、実質的な値下げ幅を1Lあたり15円として計算します。

月間走行距離月間のガソリン使用量年間のガソリン使用量年間の節約額
300km20L240L3,600円
600km40L480L7,200円
1,500km100L1,200L18,000円

 たとえば、月間300km走行する場合、月間20L、年間240Lのガソリンを使用する計算です。1Lあたり15円の実質値下げで、年間3,600円の節約です。

月間600km走行する場合は年間7,200円、営業車などで月間1,500km走行する場合は年間18,000円の削減が見込まれます。

これらの数字は、実質的な値下げ幅を1Lあたり15円とした場合の試算です。原油価格や為替の変動により実際の店頭価格は前後しますが、税負担の軽減により、一定のコスト削減効果が期待できます。

物流コストが抑えられる

燃料価格の低下は、運送業や配送業にとって大きな経費削減につながります。たとえば、月間500Lのガソリンを使用する事業所の場合、1Lあたり15円の値下げで月間7,500円、年間9万円の経費削減が見込まれます。

物流コストの削減は、企業の利益率改善につながります。また、燃料費の負担が軽くなることで、価格転嫁の圧力がやわらぎ、最終的には消費者が購入する商品の価格抑制効果も期待できます。

軽油を使用する大型トラックについては、2026年4月1日に暫定税率が廃止されたことで、さらなるコスト削減が見込まれます。

地方経済に好影響がもたらされる

公共交通機関が限られている地方では、車が生活に欠かせない移動手段です。そのため、ガソリン代の負担は都市部よりも相対的に重くなりやすい傾向があります。

通勤、通学、買い物、通院など、日常生活のあらゆる場面で車を利用するため、燃料費の削減効果は大きくなります。

暫定税率の廃止により燃料費の負担が軽くなることで、地方で暮らす人々の家計に余裕が生まれやすくなります。その分が地域の商店や飲食店で消費されれば、地域経済全体の活性化につながることも期待できます。

また、地方の中小企業や個人事業主にとっても、営業活動にかかる燃料費の削減は、資金繰りの改善につながります。

ガソリン暫定税率廃止で想定されるデメリット

暫定税率の廃止には、家計や企業の負担軽減が期待される一方で、財源確保や環境政策との整合性といった課題もあります。

税収が減って財源が不足する

暫定税率の廃止により、ガソリン税で約1兆円、軽油引取税で約5,000億円の税収減が見込まれています。とくに懸念されるのが、道路や橋、トンネルといったインフラの老朽化対策です。

高度経済成長期に整備された道路インフラの多くは老朽化が進んでおり、維持管理には継続的な財源が必要です。暫定税率の廃止によって、その原資が減少することになります。

地方自治体にとっても、財源の確保は重要な課題です。地方道の維持管理には、地方税の財源も使われているため、税収減が地域の道路インフラに影響する可能性があります。

今後は、代替財源をどのように確保するかが課題となります。

新しい税制度が創設される可能性も

税収減を補うため、将来的に新たな税制度が導入される可能性も議論されています。その候補のひとつが「走行距離課税」です。これは、車の走行距離に応じて税金を課す仕組みです。

ただし、2026年度の税制改正では、走行距離課税の導入は見送られる見通しです。技術的な課題やプライバシーへの配慮、徴税コストの問題など、導入には多くのハードルがあります。今後、財源不足への対応が課題となるなかで、再び議論の対象となる可能性もあります。

出典:日本経済新聞「政府・与党、自動車の走行距離課税見送りへ 26年度税制改正」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA12AFY0S5A111C2000000/

政府の脱炭素戦略と矛盾する

日本政府は、2050年カーボンニュートラルの実現を目標に掲げており、自動車分野でも電動車の普及を進めています。しかし、ガソリン価格が下がることで、消費者がガソリン車を使い続ける動機が強まり、電動車への移行が遅れる懸念があります。

欧州の一部の国では、ガソリン車やディーゼル車への課税を維持しながら、EVの購入補助や税制優遇を組み合わせることで、電動車への移行を促しています。

日本では暫定税率の廃止によりガソリン税の負担が軽くなるため、脱炭素政策との整合性が問われる可能性があります。

今後、政府がどのような形でEV普及策を強化していくのかが注目されます。

まとめ

ガソリン暫定税率の廃止により、現在の店頭価格からは1Lあたり約15円の実質的な値下げ効果が見込まれます。

家計や企業にとっては燃料費負担の軽減につながる一方、ガソリンと軽油を合わせて年間約1.5兆円規模の税収減が見込まれており、インフラ維持への影響や将来的な新税制導入の可能性も視野に入れておく必要があります。

ガソリン代の負担が軽くなる今だからこそ、家計や事業全体のエネルギーコストを見直す好機といえます。燃料費だけでなく、電気代も含めて最適化を図ることで、長期的なコスト削減につながります。

株式会社新出光が九州エリアで提供する「イデックスでんき」では、ライフスタイルや事業形態に合わせた複数のプランを用意しています。

ガソリン暫定税率の廃止をきっかけに燃料費を見直すなら、あわせて電気代も確認しておきたいところです。

電気代に応じてdポイントやWAON POINTがたまるほか、普段からイデックスのサービスステーションを利用している方であれば、ガソリン代と電気代をまとめて見直しやすくなります。

また、市場連動型の「マーケットプラン」では、電気を使う時間帯を意識することで、電気代を抑えられる可能性があります。燃料費だけでなく、電気代も含めて家計全体のエネルギーコストを見直したい方にとって、選択肢のひとつとなるでしょう。

解約手数料はかからず、利用期間の縛りもないため、エネルギーコスト全体の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

イデックスでんきのマーケットプランは、 電気代を含めて家計全体のエネルギーコストを見直したい方の心強い味方です。 プランの切替でお困りの際は、ぜひお問い合わせください。

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