家事按分で正しく節税!要件・割合の決め方や計算・仕訳の方法を解説
2026.01.22
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家事按分では、自宅で発生する家賃・電気代・通信費・自動車費などを、面積や時間といった基準で分けて経費計上できます。青色申告と白色申告の要件の違いや、税務調査で指摘されやすいポイントまで詳しく解説します。
自宅で業務を行う個人事業主やフリーランスにとって、家賃や光熱費などの支出を事業分だけ経費に振り分けられる家事按分は、税負担を軽くするうえで重要な手続きです。
本記事では、家事按分の基本を押さえつつ、算出の進め方を具体例とともに紹介し、税務調査で指摘されにくくするための留意点まで詳しく解説します。
家事按分(かじあんぶん)とは
家事按分とは、個人事業主やフリーランスが自宅で業務を行うときに、私用と事業用が重なる支出を、根拠を示せる形で振り分け、事業に該当する分のみを必要経費として計上する方法です。
自宅を仕事場にしている場合は、家賃や電気代、通信費などが生活費と事業費の両方の性質を持つようになります。こうした費用は「家事関連費」と呼ばれます。税法上、必要経費として認められるのは、事業のために発生した支出に限られます。
ただし家事関連費であっても、事業で使用した部分を明確な基準で区分できるなら、その割合分を必要経費として計上できます。
たとえば、月10万円の家賃のうち、仕事部屋が全体の25%を占めている場合は、2万5,000円を経費として計上できます。この仕組みを正しく活用することで、課税所得を適切に減らし、支払う所得税や住民税を抑えることができます。
家事按分を適用するための要件

家事按分をする際は、国税庁が定める2つの要件を満たす必要があります。
1つ目は「業務を進めるうえで直接必要であること」です。その支出が事業に欠かせるものといえない場合、必要経費としては認められません。
2つ目は「必要な部分をはっきり区分できること」です。私用と事業用の境目をあいまいにせず、面積や時間、使用頻度など、客観的に説明できる基準で振り分けることが重要です。誰が見ても納得できる根拠を示す必要があります。
これらの要件を満たすには、間取り図や業務時間の記録、領収書など、根拠となる資料をきちんと残しておくことが重要です。
出典:e-Gov法令検索「所得税法施行令 第96条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)
出典:国税庁「法令解釈通知〔家事関連費(第1号関係)〕」(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm)
青色申告と白色申告で要件は異なる?
家事按分については、青色申告と白色申告で法令上の取り扱いが異なります。
青色申告では所得税法施行令第96条第2号にもとづき、事業での使用割合が50%以下であっても、業務に必要な支出であることを根拠とあわせて示せる場合は、必要経費として計上できます。そのため、条文だけを見ると青色申告の方が有利に感じられます。
一方、白色申告では、原則として事業に関わる費用が全体の50%を超えていることが求められます。ただし、割合が50%以下でも、業務で使った部分を明確な基準で切り分けられる場合は、その範囲について経費として計上できます。
とはいえ、実務上はどちらの申告方法でも「客観的かつ合理的な根拠」が最も重視されます。国税庁は、青色申告か白色申告かで家事按分の基準をはっきり区別しておらず、いずれも、その支出が事業用であることを説明できるかどうかが求められます。
青色申告には最大65万円の特別控除などのメリットもあります。まだ青色申告をしていない方は、この機会に変更を検討してみるとよいでしょう。
出典:e-Gov法令検索「所得税法施行令第96条第2号」(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)
出典:国税庁「法令解釈通知〔家事関連費(第1号関係)〕」(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm)
出典:国税庁「青色申告特別控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm)
家事按分の対象になる経費と計算方法

家事按分の対象になりやすい経費としては、地代家賃、電気料金、ガス・水道料金、通信費、自動車関連費などが挙げられます。これらの費用をどう振り分けるのか、按分の考え方と計算例を交えて順に確認していきましょう。
地代家賃
自宅の一部を事務所用途で使用している場合は、家賃を事業分に按分し、その分を必要経費として計上できます。賃貸物件だけでなく、持ち家の場合も建物の減価償却費や固定資産税、住宅ローンの利息部分が対象です。
家賃の按分は、大きく分けて2つの方法で考えます。
事業に使うスペースの割合で計算する方法
面積を基準にした按分は、よく採用される方法であり、説明の根拠を用意しやすい基準です。
【計算例:自宅全体が60㎡、仕事専用スペースが15㎡の場合】
按分率:15㎡ ÷ 60㎡ = 25%
月の家賃が10万円であれば、2万5,000円を経費として計上できます。
間取り図などの客観的な資料で証明しやすく、税務調査でも説明がしやすい方法です。リビングの一角で作業している場合は、パーティションなどで仕事用の範囲を区切っておくと、按分の根拠をより明確に示しやすくなります。
事業に使う時間の割合で計算する方法
専用の作業スペースを設けにくい場合は、使った時間を目安にして按分します。
【計算例:1日7時間、週5日自宅で業務を行う場合】
週の業務時間:7時間 × 5日 = 35時間
按分率:35時間 ÷ 168時間 ≒ 21%
月の家賃が15万円なら、約3万1,500円を経費として計上できます。
【補足】持ち家で家事按分できる経費・できない経費
持ち家の場合は、建物の減価償却費や固定資産税、住宅ローンの利息分、火災保険料などを事業分に按分して計上できます。一方で、住宅ローンの元本にあたる部分は、必要経費として計上できません。
また、住宅ローン控除を利用している場合は、事業で使う割合が50%を超えると控除を受けられなくなるおそれがあるため、注意が必要です。持ち家の家事按分は内容が複雑になりやすいため、税理士に相談することをおすすめします。
電気料金
在宅ワーカーにとって、電気代は重要な経費です。パソコンやモニター、照明、エアコンなど、業務中に使用する電力は無視できない負担になります。
電気料金を家事按分する場合は、大きく分けて2つの考え方があります。
事業に使う時間で計算する方法
よく用いられるのは、業務に充てた時間を目安にして割合を決める按分方法です。
【計算例:1日8時間、週6日業務を行う場合】
週の業務時間:8時間 × 6日 = 48時間
週の総時間:24時間 × 7日 = 168時間
按分率:48時間 ÷ 168時間 ≒ 29%
月の電気代が1万2,000円であれば、その29%にあたる約3,480円を経費として計上できます。
ただし、冷蔵庫のように24時間稼働する家電もあるため、より精緻に計算したい場合は、業務専用の電化製品と常時稼働する機器を分けて考える方法も有効です。
あわせて業務時間を残しておけば、按分の根拠を説明しやすくなり、電力の使用傾向もつかみやすくなります。
事業に使うコンセントの数で計算する方法
もう一つの方法は、業務で使用するコンセントの数を基準にする方法です。
【計算例:自宅の差し込み口20個で、業務で使用するのが4個の場合】
按分率:4個 ÷ 20個 = 20%
月の電気代が1万2,000円であれば、その20%にあたる2,400円を経費として計上できます。
この方法は、パソコンやモニター、プリンターなど事業専用機器を繋いでいるコンセントの数を数えるだけで按分率を求められるため、シンプルで客観性のある基準といえます。
ただし、エアコンのように部屋全体へ影響が及ぶ設備は、差し込み口の数だけでは実態を捉えきれないことがあります。そのため、時間按分も併用すると、実際の利用状況により近い計算になります。
在宅で働く方にとって、電気代の按分は経費計上のためだけの作業ではありません。いつ、どれくらい電力を使っているのかを見直すきっかけにもなります。
電気料金は、使用時間帯によって単価が変わる料金プランが採用されていることもあるため、使用パターンを把握できれば、自分に合った電力プランを選びやすくなります。
さらに、按分の根拠として業務時間や使用状況を記録しておけば、無駄な電力消費を見つけやすくなり、結果として電気代そのものを抑えることにもつながります。
ガス・水道料金
ガス代や水道代も家事按分の対象になりますが、業種によって経費計上のしやすさは変わります。
自宅で料理教室を開いている、または美容室として営業しているなど、事業でガスや水道を使っていることがはっきりしている場合は、使用時間を基準にして按分する方法が認められます。
【計算例:1日5時間、週4日料理教室を開催】
週の業務時間:20時間 ÷ 168時間 ≒ 12%
月のガス代が8,000円なら、約960円を経費として計上できます。
一方で、WebライターやWebデザイナーなどデスクワーク中心の業種では、ガス代や水道代が業務と直接結び付いていることを証明しにくいため、経費計上は避けた方が無難です。
通信費
携帯電話料金やインターネット回線の利用料は、多くの在宅ワーカーにとって業務に欠かせない支出です。按分は、使用した時間または日数を目安にして行います。
【計算例(使用時間基準):1日9時間、週5日業務で使用】
按分率:45時間 ÷ 168時間 ≒ 27%
月のスマートフォン代が8,000円なら、約2,160円を経費として計上できます。
【計算例(使用日数基準):週5日業務で使用】
按分率:5日 ÷ 7日 ≒ 71%
月のインターネット回線使用料が5,000円なら、約3,550円を経費として計上できます。
なお、業務用の携帯電話や回線を別途契約すれば全額を経費にでき、按分の手間も省けます。コストと手間のバランスを考えながら、自分に合った方法を検討しましょう。
自動車関連費
自動車を事業用と私用の両方で使っている場合は、ガソリン代、車検費用、自動車税、保険料、駐車場代などを家事按分し、事業分を必要経費として計上できます。
その際は、走行距離を基準にする方法が最も一般的で合理的です。
事業のために走行した距離で計算する方法
1か月あたりの総走行距離が1,000kmで、業務使用が400kmの場合は、以下の計算式になります。
按分率:400km ÷ 1,000km = 40%
月のガソリン代が1万円であれば、その40%にあたる4,000円を経費として計上できます。
走行距離を基準にする場合は、日付や訪問先、目的、走行距離を運転日報に記録しておくことが重要です。
事業に使った時間や日数で計算する方法
走行距離の記録が難しい場合は、使用日数を目安にして按分することも可能です。ただし、距離を基準にするほうが根拠を示しやすいため、可能であれば走行距離による方法をおすすめします。
また、クライアント先へ直接向かう際の高速道路料金や駐車場代など、業務のための支払いであることが明確な費用は、家事按分せず全額を必要経費として計上できます。
その他の経費(消耗品費・PC・プリンターなど)
パソコンやプリンター、デスクなどの事務用品も、私用と兼用している場合は家事按分の対象になります。
10万円未満の物品は消耗品費として一括計上し、使用頻度を目安にして按分します。10万円以上の物品は減価償却資産として、耐用年数に応じて経費計上します。
なお、青色申告では30万円未満の減価償却資産を一括で経費計上できる「少額減価償却資産の特例」を利用できます。複雑な減価償却計算を行わずに済むため、青色申告のメリットをより活かせます。
出典:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm)
家事按分の対象にならない支出
家事按分で経費として計上できる支出がある一方で、経費として認められないものもあります。住宅ローンの元本は借入金の返済にあたるため経費になりませんが、利息分は事業割合で按分できます。私服は原則対象外で、スーツでも私用に使える衣類は家事費と扱われます。作業着や制服など、業務専用といえる衣類であれば計上できます。
同一生計の家族や親族への支払いも、親族間で所得を分散させて税負担を不当に軽くする行為を防ぐため、原則として経費にできません。
家族旅行や趣味の費用など、明らかに私的な支出も同様です。必要経費として認められるのは、業務に直接必要な支出に限られます。
家事按分を経費計上する際の勘定科目と仕訳例
家事按分した経費を正しく計上するには、内容に合った勘定科目を選び、仕訳を正確に行う必要があります。
ここでは、主な経費の勘定科目と実際の仕訳例を紹介します。
家事按分の勘定科目
家事按分で用いる代表的な勘定科目は、次の通りです。
| 経費の種類 | 勘定科目 |
|---|---|
| 家賃 | 地代家賃 |
| 電気・ガス・水道 | 水道光熱費 |
| 携帯電話・インターネット | 通信費 |
| ガソリン・車検など | 車両費 |
| 文房具・備品 | 消耗品費 |
プライベート使用分については「事業主貸」という勘定科目を使います。「事業主貸」とは、事業用の資金を個人的な支出に充てた場合に用いる科目であり、経費にはなりません。
家事按分の仕訳例
家事按分の仕訳には、大きく分けて2つの進め方があります。毎月その都度処理する方法と、年末に一括で精算する方法です。どちらを選んでも結果は同じなので、自分の経理スタイルに合う方法を選びましょう。
毎月記帳する場合
月10万円の家賃を、事業用25%、私用75%として振り分けるケースを例に見ていきます。
【日付:6月30日】
借方:地代家賃25,000円/貸方:普通預金100,000円
借方:事業主貸75,000円
この方法を用いると、毎月の経費をリアルタイムで把握しやすくなり、月々の収支管理を重視する方に向いています。
1年分をまとめて記帳する場合
毎月、家賃をいったん全額経費として計上し、年末に私用分をまとめて振り替える方法もあります。
【毎月の記帳(6月30日)】
借方:地代家賃100,000円/貸方:普通預金100,000円
【年末の決算処理(12月31日)】
借方:事業主貸900,000円/貸方:地代家賃900,000円
(摘要:家賃の按分(事業主貸75%))
この方法は月々の記帳をシンプルにできる反面、年末にまとめて按分計算と振り替え処理を行う必要があります。家賃のように毎月一定額で発生する支出に向いている方法です。
水道光熱費や通信費も、基本的には同じ考え方で処理できます。自分にとって管理しやすい方法を選び、一貫したルールで記帳することが大切です。
家事按分で算出した経費が否認されるとどうなる?
家事按分した経費が税務調査で不適切と判断されると、その部分の経費が認められず課税所得が増え、追加納税が必要になります。
過少申告加算税(追加納税額の10%~15%)や延滞税(年率3%~15%)といったペナルティが発生し、修正申告の手続きや税務署とのやり取りにも時間と労力を取られます。
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm)
出典:国税庁「No.9205 延滞税について」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm)
不適切な家事按分は税務署にバレる!
税務署は家賃や光熱費の利用実態を丁寧に見ているため、実態とかけ離れた按分は気付かれやすくなります。
20㎡のワンルームで家賃の80%を経費計上したり、年収300万円で高級車を購入して経費にしたりすると、明らかに不自然だと判断されます。常に合理的な根拠に基づいて按分することを心がけましょう。
税務調査で指摘されやすい家事按分のポイント
税務調査の場では、とくに家事按分の妥当性が重点的に確認されます。どのような点が指摘されやすいのか、事前に把握しておきましょう。
按分率を過大に計算していないか
按分率が実態より過大になっている場合は、税務調査で最も指摘されやすいポイントです。
たとえば、30㎡のワンルームで20㎡(約67%)を事業用として按分すると、生活スペースが不自然に狭くなり実態に合わないと見なされます。
年収が300万円台にもかかわらず、月30万円の家賃の70%を按分して月21万円を経費にしているようなケースは、収入規模とのつり合いが取れておらず、疑義を持たれやすくなります。
按分率は無理のない範囲に収め、実際の利用状況に即した合理的な割合にすることが重要です。
家事按分の割合に根拠があるかどうか
按分率をどう決めたのか根拠があいまいだと、税務調査での説明が難しくなります。
「なんとなく半分くらい使っている気がするから50%」といった感覚的な判断は、根拠として認められません。面積や時間、数量、距離など客観的な指標をもとに算出し、根拠を筋道立てて説明できる状態にしておく必要があります。
さらに、計算方法は一貫していることが求められます。今月は時間基準、翌月は面積基準に切り替えるなど、月ごとに基準を変えることはできません。一度決めた基準は、少なくとも1年間は継続して使用しましょう。
家事按分の証拠書類があるかどうか
按分の根拠となる資料が残っていないと、いくら口頭で説明しても説得力を持たせられません。
【必要な証拠書類の例】
● 家賃:賃貸借契約書、間取り図
● 電気代:電気料金の請求書、業務時間の記録
● 通信費:利用明細、使用時間の記録
● 自動車:運行記録簿、走行距離のメモ
とくに電気代については、使用時間帯の記録が按分比率の合理性を裏付ける有力な証拠になります。業務時間を継続して記録しておけば、按分の根拠をより具体的に示しやすくなります。
同一生計内での支払いを家事按分していないか
生計を共にする家族や親族への支払いは、原則として経費計上できません。
たとえば親と同居し、親名義の自宅の一室を仕事部屋として使い、親に家賃を支払っている場合でも、その家賃は経費として認められません。これは家族間で所得を分散させ、税金を抑えようとする行為を防ぐための措置です。
配偶者や子どもなど同一生計の親族への支払いも同様に経費にはなりません。家族に仕事を手伝ってもらっている場合は「青色事業専従者給与」として支払う形にし、あらかじめ税務署へ届け出を行う必要があります。
まとめ
家事按分は、個人事業主やフリーランスが家賃や光熱費、通信費の一部を経費にして課税所得を減らすための重要な仕組みです。
とくに在宅ワーカーは、電気代を使用時間やコンセント数など客観的な基準で按分すると、適切に経費計上でき、電力の使い方も見直せます。合理的な根拠と証拠書類をそろえることで、節税が可能になります。
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